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【第1章 1日目・9/11土】
1.盗まれるのはこんな日
すっきりと晴れて気持ちのよい休日の朝、
気分よく出勤のしたくをするサヤカ。
これから起こる悲惨なできごとを想像できるはずもなく…。
9月11日土曜日の朝。窓から差し込む光がまぶしくて、目が覚めた。
コーヒーをドリップしている間に、冷凍庫のくるみパンをあたためる。 高級食材店で奮発して買った無塩バターと、オレンジマーマレードのジャムを塗る。 バターの冷たい感触が、眠っていた舌に心地よい。
株式会社ムーアのスーパーバイザーに抜擢されてから、今日で半年。ブティック「MOORE(ムーア)」の店舗運営に携わり忙しい毎日をおくってきた。今日の休日出勤は二ヶ月後にせまる展示会の準備のためだ。この展示会で、私の全てが試される。人生がかかっている。

「きみはどこか抜けているから、人の二倍、いや三倍は準備が必要だな。」
シンイチがいうことはいちいち正しい。
人の二倍準備をしてやっと一人前。だから、展示会の企画が現実になった先月の時点で、今日の休日出勤もこころに決めていたのだ。
手帳を開いてスケジュールを再確認。 愛用の万年筆で今日の予定を書き込む。
時計を見上げるとちょうどよい時間になっている。
よし、そろそろ出よう。
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