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【第3章 8日目・9/18土】
12.シンイチのPC基地
「わけあり」の理由を分析してもらうため、シンイチの家を訪れるサヤカ。
彼の部屋は、まるで「情報収集基地」。
(サヤカ談)
シンイチの家は何度か訪れたことがある。おばあさんが50年来暮らしてきた木造の一軒家だ。風雪に耐えられる頑丈な作りをしている。
静かな住宅街にシンイチの家はある。家の周りにはきれいな水の流れる水路があり、庭には大きな木が茂る古い洋館だ。
玄関脇の庭には、趣味の良い可憐な草花が咲いている。秋になれば甘酸っぱい香りを振りまくキンモクセイの大木が、行き交う人の足を止める。
掃き清められた玄関に立ち、呼び鈴を押す。おばあさんがあたたかい笑顔で出迎えてくれた。出汁とお醤油で煮えるじゃがいもの匂いが家の奥から漂ってくる。 シンイチの家の居間は大好きだ。いつ来ても青い畳の香りがすがすがしい。その居間で、三人揃って食卓を囲む。ちょっと遅い朝食。さばの塩焼き、肉じゃがを食べる。ミョウガの酢づけが食欲をそそる。
食事のあと、シンイチの部屋へ移動する。シンイチの部屋は、まるで何かの基地のようだ。いつもそう思う。
大きな木の机にパソコンのディスプレイが三台横並びに置かれている。足もとにはパソコン本体。これはシンイチの自作らしい。
畳にしかれた布団を取り囲むようにして、さまざまな本が散乱している。洋服ダンスはない。ラックには2、3着の濃紺色のスーツ、10枚以上のワイシャツが、かかっている。
シャツはクリーニングの袋に包まれたままだ。
20本以上もあろうネクタイがシンイチ唯一のおしゃれなのだ。
おばあさんが入れてくれたほうじ茶を飲みながら、ようやく本題にはいる。
「あの車、ワケアリってあったじゃない、どういうことかな?」
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