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【第1章 1日目・9/11土】
2.どこに愛車をとめていたか
愛車の「国産車Z」、500万円相当の高級車が忽然と消えた。
(サヤカ談)
部屋を出てマンションの玄関をでると霧のような雨がバッグを濡らした。用意していた傘をさし、マンション裏手の駐車場へと向かう。
車の運転は時々する。
昨晩のドライブはデパートと書店。食材を買い込み、気になっていた小説を手に入れた。
あとは今日のような休日出勤にも車を使う。
「国産高級車で会社にのりつけるなんて、サヤカも出世したな」
といつもシンイチにからかわれている。愛車は「国産車Z」というスポーツカーだ。この車との出会いは、ちょうど私がスーパーバイザーに就任した時。
からかわれても悪い気はしない。自分へのご褒美にと思い切って買った、私のステータスの象徴だもの。
さぁ、着いた。
アスファルトで固めた敷地をフェンスで囲んだだけの駐車場。フェンスがなければ、まるで小さなミステリーサークル。野原にぽっかり穴が空いたような空き地である。同じマンションの住人ほとんどが契約しているこの駐車場には、さまざまな車が30台ほどとめられている。
車を出し入れするときにしか人が来ない。マンションの裏ということもあって、ひとけがなく夜は特に寂しい場所だ。
私は水たまりをよけながら駐車位置番号「21」へ向かう。18、19までかぞえたとき、自分の車がそこにないことにはじめて気づいた。
冷たい汗が背中をつたう感覚…
隣町に住む妹が持っていったか、いや、鍵は誰にも貸していない。警察に牽引されたか、そんなはずもない。じゃぁ私の車は一体どこに!?
そういえば昨日の夜、車に忘れた本を取りに来た。買い物から帰った後だったから…そう、八時すぎくらい。
その時には確かにここにあったのに。腹の底にひびくドアの重厚な音が、もう、なつかしくなっている。
まさか…
物をなくしたときに味わう、あのいやな感覚が喉の奥からせりあがってくる。悔しいからあんまり考えたくない、でも放っておけなくて頭から離れない、あの感覚。
盗られた。盗難にあったんだ。あぁ…。
自転車のように、そこら辺に乗り捨てられてはいないだろうか。念のため探してみようか。今日の出勤はどうしようか。警察にも言わなければならないのだろうか。
考えれば考えるほど混乱してくる。とりあえずバックから携帯電話をとりだす。気づくとシンイチの番号を押していた。 |
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