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【第4章 10日目・9/20月】
20.手口
エンジンナンバーの位置がわかった。
だんだんと車両盗難の手口が見えてくる。
(シンイチ談)
「そばでも食いに行こうぜ」
昼休み、本木を食事に誘ったところで、サヤカから電話が入った。サヤカの車の車台番号とエンジンナンバーの刻印位置がわかったという。
「エンジンナンバーはシリンダーの上にあって、とても手の届きにくいところみたいなの。」
「そうか。じゃぁエンジンナンバーに手をくわえている可能性は低いな。無理に偽造するとエンジンを傷つけるし。車台番号はたぶん変えられているだろうけど…。」
念のため、以前お世話になっていた谷原自動車さんにも確かめたい。
サヤカと明日の待ち合わせ場所を確認して電話を切る。
さあ、ここからだ。
オークション車のポイントは3つ。1.コーションプレートがないということ、2.抹消登録原本と譲渡証があるということ、そして3.自動車の年式が違うということだ。この3つがさやかの愛車と異なるところ。これらを総合的に考量する。
もしかしたら、抹消登録原本と譲渡証はまったく別の自動車のものかもしれない。
「naniwa999」が別のルートで手に入れた他の「国産車Z」の添付書類を、今回のオークション車に使用していると仮定してみる。
1.「naniwa999」はまず、国産車Zの事故車を買い取り、その際に所有者から譲渡証等を受け取る。そして抹消登録原本を自分のものとして持つ。
2.次に、サヤカの自動車をひっぱってきて、コーションプレートを破棄。コーションプレートには車台番号やエンジン番号が載っている。コーションプレートの番号と書類の番号の不整合を見破られないためだ。
3.さらに、サヤカの自動車の車台番号をいじる。エンジンルーム内の車台番号を削り取り、かわりに別ルートで手に入れた自動車の車台番号を刻印するのだ。ちなみに抹消登録原本に乗っているのは車台番号のみ。エンジン番号は載っていない(これは谷原さんにきいてあるから間違いない)。
だから、犯人としては抹消登録原本から把握できる車台番号だけを証拠として車体に刻印することになる。手の届きにくいエンジン番号は直さないが、書類にも書いていない番号なので放っておく。
4.こうすれば、盗難車にあまり手を加えないまま売ることができる。書類の車台番号とエンジンルームの車台番号とが一致するので、たとえ盗まれた車の持ち主がでてきても「車台番号の一致」で押し通すことができる。
もちろん、持ち主にエンジン番号を主張されたら話は別だ。エンジン番号には手を加えられていないのだから。
この仮定からすると抹消登録原本や譲渡証が存在することも、年式が11年式になっていることも、つじつまがあう。きっと手に入れた書類に11年式と記載されているのだろう。もちろんコーションプレートがないことの理由にもなる。
「そろそろ行けるか?」
本木の呼びかけに、ふと現実に戻る。本木は、いかにも腹ぺこそうに腹をさすっている。
そば屋へ向かう途中、本木に「naniwa999」への再アプローチを頼む。
受け渡しはどういうふうにするのか、取りに行く場所とその住所を教えてくれというメールをだしてもらうことにした。
「それにしても、盗難保険をカバーしてないのはいたいよな…。っていったって、まさか自分の車が盗まれるなんて考えもしないけどさ。」
本木がつぶやく。
「ほんとだよな、何かあった時のための自動車保険なのに。これじゃ守ってもらえないんだもんな。」
どうしてもこのオークション車をつかまえたい。逃すわけにはいかないのだ。
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