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【第5章 11日目・9/21火】
22.一人目との接触
yahoo!オークションで「naniwa999」氏と取引経験のある「nakachan」氏をたずねる。オークション落札日まで残り三日。
(シンイチ談)
朝、家で支度をしているときに、本木からメールが入った。「naniwa999」から返信がきたという。
落札した場合、車の受け取りには陸送会社を使って持っていってもいいという。受け取り場所については埼玉県の朝霞市のある住所を教えてきた。
今回のメールで、その人の名は「ミゾグチ」であるということもわかった。ただし、それが本名なのか偽名なのかは知りようがない。
それにしても、まさか受け取り場所の住所を教えてくれるとは思わなかった。オークションまでの日数を考えても、今日中に受け取り現場までまわりたい。
その前に、今日は火曜日。「naniwa999」と取引履歴のある「nakachan」をサヤカと訪ねる約束をしている。まずは喫茶・中島のある墨田区へ向かう。待ち合わせ場所の錦糸町駅改札口ではサヤカがすでに待っていた。
喫茶・中島は、小さいが自社ビルを持っている立派な会社だ。従業員数もたぶん数十名規模だろう。一階に小綺麗な喫茶店が併設されている。ヤクザの事務所という感じではない。
エレベーターでビルの2階へ上り、そのまま中に入っていく。「受付」とかかれた小さなカウンター付近にいた男性にサヤカがたずねる。「役員の『ナカジマヒロシ』さんはいらっしゃいますか?」
「何のご用件でしょう」と男性がいうので今度は私が答える。
彼女(サヤカ)の車が盗難されたこと。インターネットのオークションでその盗難車が出品されていたこと。喫茶・中島の役員である「ナカジマヒロシ」さんが、盗難車の出品者と過去に取引を行っていた可能性があるということ。出品者のことをご存じの可能性も高いのでお話をうかがいたい、ということ。ひととおり経緯を話し説明をする。
しかし、いくら話をしてもなかなかとりあってもらえない。
「うちのナカジマが盗んだのか」、「お前らはうちのナカジマが犯人だと言っているのか」、「警察へ行け」、「ヤフーに問い合わせればいいだろう」…。
男性が不審に思うのもしかたあるまい。突然やって来て盗難の話をするのだから。
そこで疑念を一つ一つつぶしていく。
「ヤフーにも問い合わせてみました。でも『個人情報』なので、警察からの要請が内限り答えられない、と言われたんです。もちろん警察にも話ましたが、確証がない限りは捜査できないと言われるし、全然話が進まないんです。」
こうして20分ぐらいの時間をかけて、やっと内容を理解してもらうことができた。
しかし、たまたまナカジマさんは不在だった。出張か何かに出ているらしい。
落札されたり、出品を取りやめられたりすれば、もう手がかりがなくなってしまう。「早い段階でとにかく連絡を取りたい」とお願いをした。
連絡先がわからないという。携帯電話の番号くらいはわかっているだろうに。
と思いつつ、しかたがないので私とサヤカの名刺を置いていくことにする。裏に携帯の番号を書いておいた。
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