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【第1章 1日目・9/11土】
5.守ってくれる保険とは
盗難保険に加入しているかどうか。
サヤカの運命の鍵を握る担当者、塚原氏。
(サヤカ談)
部屋に戻ったはいいものの、靴を脱いではじめて思い出した。
そうだ、車両保険の書類は部屋にない。実家だ。
さらにがっくりと肩を落とした。半年前、車を買った直後に帰省したのだ。そのときに読もうと思って持ち帰った書類を置いてきてしまっている。実家は淡路島。運が悪い。
とはいえ淡路島まで取りに帰るつもりもないし、電話をして母に心配をかけたくもない。頭を悩ませながら、あることが頭をよぎった。
そういえば、担当者の電話番号を聞いていたはず。
予想どおり、携帯電話に登録をしていた。保険会社の担当者、塚原さんだ。時計を見ると9時30分だった。今日は土曜で休日。申し訳ない気もするけれど、状況が状況だ。そう思って直接電話をかけることにした。
プルル。プルル。
「はい、もしもし」
2コールで塚原さんが出てくれた。まるでオフィスで受けているかのようにハキハキとした様子だ。でも自宅なのか、小さな子供の声が聞こえる。テレビアニメの歌。
笑い声。電話の向こうでは、あたたかな家庭の様子が広がっている。
とりあえず塚原さんに事情を説明して、加入保険の内容を確認したい旨を伝える。
「それでは確認をして、月曜日以降折り返しご連絡します」
電話を切って、保険に加入した当時を振り返ってみた。
あの時は、とにかく保険料が安い自動車保険に加入することだけしか考えていなかった気がする。
さらに手続は塚原さんにほとんどまかせきりだったことも思い出した。
もし盗難がカバーされない保険だとしたら、受け取れる保険金はゼロ。全く入らないらしい。500万円近くした車が無になるのはなんとも耐え難いことだ。
とりあえず、返事を待つしかない。
そうだ、シンイチに経過を報告しよう。とりあえず、今できることが他になければ、気を取り直して電車で出社することにしよう。
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